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アウさんの背中を僕が支え、その僕を鉄っちゃんが支えながら、長い階段を押し進む。
前の人を押し離すたびに、”ブースト切り離しだッ”とか言っちゃう。
今まで書いてこなかったが、今回の旅では、
長い階段においては大抵この連携体勢を用い乗り越えてきたのだ。
はたから見ると非常に残念な光景である。


そんな僕達の共同作業が再び繰り広げられるは佐世保市。
某ネルガル重工が栄える、日本の最西端長崎の中の更に最西端だ。

何故こんな所にいるのか。
誰かが、”そうだ。海に行こう”と言い出したからだ。
ホテルから近場で行ける海を探したらここに辿りついた、というわけなのである。
傍に水族館やらカヌー乗り場やら大掛かりな造船場(ここがネルガル重工のモチーフだったらしい)があったりと、見応えがある土地だ。

先程の3段ブーストをかけ…僕達は切り立った丘の上に出た。
茂る木々の間から蟹が這い出て、それを見て子供のようにはしゃぐ
ゾンリさん。
その無邪気な表情に、惹かれる女性も少なくはないだろう。
だが、アウさんは…ゾンリさんの表情がずっと笑顔なことに疑問を覚えていた。
ゾンリさんは、本当に…心から笑ってくれているのだろうか、と。

僕は、そういったアウさんならではの気遣いも理解できる。
人は、人の腹の内までは決して知ることはできない。
推し量ることはできても、解答を得ることはできない。

そもそも、ゾンリさんに人間としての意思があるかどうかですら、
僕達に証明する術はないのだ。
ゾンリさんは、哲学的ゾンビかもしれないのだ。


だが、この吸い込まれるような青空の下で、
無邪気に蟹とたわむれるゾンリさんの姿を見て…
彼の人間性を否定することができようか。
その感情が偽りであると断ずることができようか。

――ゾンリさんは、きっと本物の人間だと思う。
 
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