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「ここが長崎…日本の最西端ですか…」
アウさんが、いつも通りの柔和な表情で辺りを見渡す。
空の上での不穏な空気は、影も形も見えなくなっていた。
ターミナルトでアウさんの長崎入りを記念して写真を取っていると、
目的地・ハウステンボスへの直行便が停止し、悠々と戸口を開けた。
慌てて乗り込む際、後ろに気配を感じたので振り返ると……
僕達のように、空港から乗り込もうとしているグループの姿がいくつか眼に入った。
「アウさん、奴等…」
「えぇ…。恐らく、明日の敵でしょうねぇ…。」
このレポートではまだ詳細に語ってはいなかったが、
今回の旅の目的の1つは、明日ハウステンボスで開かれる、「200万円争奪宝探しイベント」を制覇することにある。
参加人数は、1万人。
随分と大規模で気前のいいゲームだ。
おそらく、先程の搭乗者グループも、その参加者の一人だろう、と僕達はあたりをつけていたのだ。
気が付くと、
「ぉぃぉぃ、あいつらあんな装備で明日のゲームに参加するみたいだぜ!!」
「ヒャハハハ!!女子供の参加するイベントじゃねぇんだよ!!ザコは小便を垂れ流す前にお家に帰りな!!!」
という非常に失礼なアテレコを、僕達は名も知らぬ同乗者達に対してしていた。
さらにその後アウさんは、
「ほぉぅほぉぅ…これが九州ですか……随分と田舎ですねぇぇ……」
と、九州勢力を敵に回すような発言をしきりに繰り返していた。
もしこのバスに地元の方がいたら、
「東京モンが調子に乗っちょるけん、しめちゃれよ!!」という展開になること請け合いだったろう。
何の抵抗もできぬままサンドバッグになり、路上に投げ出されるアウさんが眼に浮かぶようだ。
しかし、そうはならなかったということは、おそらく、
このバスの乗客は全員外来の者。
すなわち、明日のイベント参加者という公算が大きい。
こういう大会系イベントの場合、
最後まで残るのは妙に物静かでおとなしそうな人間という定説を掲げた僕達は、
その手の人間に注意を払い、観察していた。
後で考えれば愚かしいというか、嘆かわしい話なのだが、
この時僕らが、世界の中心であることを疑いもなく信じきっていたのだった。
宿であるホテル日航ハウステンボスに到着。
かなり念入りに植林されており、ホテルの白亜の壁面に、樹木の緑が豊かに色を添えている。
陽光が注ぐ中、ホテルまでの斜面をのそのそと歩くアウさんの後姿は、
まるでビッグフットのようだった。
受付をすませ、僕達にあてがわれた部屋に向かう。
茶色を基調にした落ち着いた調子の部屋。
調度品も木製が中心で、なかなか温かみのある趣だ。悪くない。
事前に知っていた通り、ベッドは3つ。
窓側の2つはほぼ寄り添うように隣り合っており、
シャワー室側の1つとは、サイドテーブルを隔てて設置されている。
その隔離された1つをアウさんが選び、僕は中心の1つを選ぶ形になった。
そして、とりあえず夜の事前探索に向けて、2人共久々の深い眠りについた。
アウさんの寝顔は、疲弊しきっており、まるで冬眠するビッグフットのようだった。
アウさんが、いつも通りの柔和な表情で辺りを見渡す。
空の上での不穏な空気は、影も形も見えなくなっていた。
ターミナルトでアウさんの長崎入りを記念して写真を取っていると、
目的地・ハウステンボスへの直行便が停止し、悠々と戸口を開けた。
慌てて乗り込む際、後ろに気配を感じたので振り返ると……
僕達のように、空港から乗り込もうとしているグループの姿がいくつか眼に入った。
「アウさん、奴等…」
「えぇ…。恐らく、明日の敵でしょうねぇ…。」
このレポートではまだ詳細に語ってはいなかったが、
今回の旅の目的の1つは、明日ハウステンボスで開かれる、「200万円争奪宝探しイベント」を制覇することにある。
参加人数は、1万人。
随分と大規模で気前のいいゲームだ。
おそらく、先程の搭乗者グループも、その参加者の一人だろう、と僕達はあたりをつけていたのだ。
気が付くと、
「ぉぃぉぃ、あいつらあんな装備で明日のゲームに参加するみたいだぜ!!」
「ヒャハハハ!!女子供の参加するイベントじゃねぇんだよ!!ザコは小便を垂れ流す前にお家に帰りな!!!」
という非常に失礼なアテレコを、僕達は名も知らぬ同乗者達に対してしていた。
さらにその後アウさんは、
「ほぉぅほぉぅ…これが九州ですか……随分と田舎ですねぇぇ……」
と、九州勢力を敵に回すような発言をしきりに繰り返していた。
もしこのバスに地元の方がいたら、
「東京モンが調子に乗っちょるけん、しめちゃれよ!!」という展開になること請け合いだったろう。
何の抵抗もできぬままサンドバッグになり、路上に投げ出されるアウさんが眼に浮かぶようだ。
しかし、そうはならなかったということは、おそらく、
このバスの乗客は全員外来の者。
すなわち、明日のイベント参加者という公算が大きい。
こういう大会系イベントの場合、
最後まで残るのは妙に物静かでおとなしそうな人間という定説を掲げた僕達は、
その手の人間に注意を払い、観察していた。
後で考えれば愚かしいというか、嘆かわしい話なのだが、
この時僕らが、世界の中心であることを疑いもなく信じきっていたのだった。
宿であるホテル日航ハウステンボスに到着。
かなり念入りに植林されており、ホテルの白亜の壁面に、樹木の緑が豊かに色を添えている。
陽光が注ぐ中、ホテルまでの斜面をのそのそと歩くアウさんの後姿は、
まるでビッグフットのようだった。
受付をすませ、僕達にあてがわれた部屋に向かう。
茶色を基調にした落ち着いた調子の部屋。
調度品も木製が中心で、なかなか温かみのある趣だ。悪くない。
事前に知っていた通り、ベッドは3つ。
窓側の2つはほぼ寄り添うように隣り合っており、
シャワー室側の1つとは、サイドテーブルを隔てて設置されている。
その隔離された1つをアウさんが選び、僕は中心の1つを選ぶ形になった。
そして、とりあえず夜の事前探索に向けて、2人共久々の深い眠りについた。
アウさんの寝顔は、疲弊しきっており、まるで冬眠するビッグフットのようだった。
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