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アウさんの家は思った以上に寝やすく、ぐっすり寝入ってしまった。
なんだかなで泊まり慣れてきたので、良くも悪くも人の家だからと
緊張しなくなってきたコゲさん。


朝目が覚めると、マロチが僕の口膣に舌を挿入し、激しく絡ませていた。
「マロチ、それはあかん」
そっと引き剥がし、思わず冷静にたしなめる。
「マロチは淫乱やね」
背後から、アウさんもきつく叱った。

しばらくして、寝ぼけ眼で頭を揺らし、視線を巡らすと、アウさんがじっとこちらを向いていた。
その表情に込められたものが何なのか、今の僕にはわからなかった。



アウさんの母上殿が用意してくれた朝食をいただき、
降りしきる雨の中、アウ邸宅を後にする。
チー、モモ、マロチ、ナナ…その他含め14匹の猫が、
代わる代わる僕たちを見送った。
この歳になると、人の実家にお邪魔するというのは実に奇妙な感覚なのだが、
そう悪いものではないのだ。
普段は見えない、おのずと隠されている誰かの意外な内側を覗く。
それは心地良い発見なのだ。
そういえば、初めての訪問の割りに、
我ながら、妙に落ち着いていたなぁと思い返すと――
長年の家庭教師業が効いていたのかもしれない。
僕はアウさんの教育をしに来たのかもしれない。

そんなこんなで、
前人未到の魔境カサンドラ――その最初の訪問者になったことを、
僕は誇りに思いながら、アウさんと共に曲がりくねる山道を下りていった。






もし、ここで終わっていたら、この後の悲劇は起こらなかったのかもしれない。
だが、既に起こってしまったものはどうしようもないのだ。
それは偶然か。はたまた誰かの悪意がもたらした必然か。
澱んだ街角で、僕達は出会った。
 
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