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「チーもおるで!!」
奇妙な声が隣で爆ぜた。
あまりの声色の違いに、最初誰だかわからなかった。
だが、その声の主はまぎれもなくアウさんだった。
彼は、そのまま諸手を広げ、襲い掛かる仕草をしながらマロチと共に、
廊下の奥へ消えていった。
…あれが、来年30になる男の姿か…。
僕は感慨深く頷きながら、アウさん(29)を見送った。
玄関に取り残された僕は、途方にくれながらも、
「お邪魔しまーす」と挨拶を忘れず、
いそいそとクロックスを脱ぎカサンドラへの第一歩を踏み出した。
床は鏡のように磨き上げられたフローリング。
だが、よく覗き込むと、所々に細い毛が落ちている。
そのことに気がつくと、あちこちから視線を向けられていることに気付く。
ドアの隙間から、チェストの影から、ぎらつく双眸が僕の方を捉えていた。
あちこちに潜む猫。猫。猫。
ここが、間違いなくカサンドラだと、僕は意識せざるを得なかった。
リビングに伸びる廊下をゆったりとした歩幅で、進む。
今までのお泊りオフと違い、今回は、アウさんの”実家”にお邪魔しているわけで……当然ながら、御家族の方と顔を合わせることになる。
この歳になると、お泊りといえば、たいがい友人の下宿やアパートで、
あまりその家族にまで顔を合わせることはなくなってくる。
そういうわけで、僕はわずかに緊張していた。
リビングは広く風通しのいい空間が創られていた。
そして、アウ家の温かな団欒がそこには満ちていた。
母上殿は、穏やかな笑みをたたえながらこの闖入者を出迎えてくれた。
張りのある快活な声からは、壮健さが伺える。
後から来た父上殿は、いつもアウさんが怒られているのを聞いているため、
厳格な昔ながらの人物像を想定していたが、以外にもその表情は柔和で、
父の包容力に満ち溢れていた。
そして、まさかのアウ姉登場。
これにはアウさんも驚いたらしく、何でお姉ちゃんいるん!?としきりに繰り返していた。
姉上殿は、見目麗しいだけでなく、会話の端にも利発さをにじませ、才女といった風情を醸し出してた。
これが、アウさんの御家族か…。なるほど、こういう温かな家庭で育てば、
アウさんのような自由闊達な気風の男が出来上がるのだろうな…と、頷く。
お土産のうなぎパイをお渡しし、いくらか談話を紡ぎ、
アウ家の食卓につかせていただく。
その日は、アウさんの母上殿が手巻き寿司を振舞ってくれた。
こういう時に、僕は何と言葉を紡げばいいのかわからなかったのだが、
謝意をうまく伝えられただろうか。おいしかったです。
ちなみにアウさんはひたすらソーセーズだけ貪られていた。
そして、夕食をすませた我々は、前人未到の地・アウさんの部屋へと侵攻した。
そこには……。
奇妙な声が隣で爆ぜた。
あまりの声色の違いに、最初誰だかわからなかった。
だが、その声の主はまぎれもなくアウさんだった。
彼は、そのまま諸手を広げ、襲い掛かる仕草をしながらマロチと共に、
廊下の奥へ消えていった。
…あれが、来年30になる男の姿か…。
僕は感慨深く頷きながら、アウさん(29)を見送った。
玄関に取り残された僕は、途方にくれながらも、
「お邪魔しまーす」と挨拶を忘れず、
いそいそとクロックスを脱ぎカサンドラへの第一歩を踏み出した。
床は鏡のように磨き上げられたフローリング。
だが、よく覗き込むと、所々に細い毛が落ちている。
そのことに気がつくと、あちこちから視線を向けられていることに気付く。
ドアの隙間から、チェストの影から、ぎらつく双眸が僕の方を捉えていた。
あちこちに潜む猫。猫。猫。
ここが、間違いなくカサンドラだと、僕は意識せざるを得なかった。
リビングに伸びる廊下をゆったりとした歩幅で、進む。
今までのお泊りオフと違い、今回は、アウさんの”実家”にお邪魔しているわけで……当然ながら、御家族の方と顔を合わせることになる。
この歳になると、お泊りといえば、たいがい友人の下宿やアパートで、
あまりその家族にまで顔を合わせることはなくなってくる。
そういうわけで、僕はわずかに緊張していた。
リビングは広く風通しのいい空間が創られていた。
そして、アウ家の温かな団欒がそこには満ちていた。
母上殿は、穏やかな笑みをたたえながらこの闖入者を出迎えてくれた。
張りのある快活な声からは、壮健さが伺える。
後から来た父上殿は、いつもアウさんが怒られているのを聞いているため、
厳格な昔ながらの人物像を想定していたが、以外にもその表情は柔和で、
父の包容力に満ち溢れていた。
そして、まさかのアウ姉登場。
これにはアウさんも驚いたらしく、何でお姉ちゃんいるん!?としきりに繰り返していた。
姉上殿は、見目麗しいだけでなく、会話の端にも利発さをにじませ、才女といった風情を醸し出してた。
これが、アウさんの御家族か…。なるほど、こういう温かな家庭で育てば、
アウさんのような自由闊達な気風の男が出来上がるのだろうな…と、頷く。
お土産のうなぎパイをお渡しし、いくらか談話を紡ぎ、
アウ家の食卓につかせていただく。
その日は、アウさんの母上殿が手巻き寿司を振舞ってくれた。
こういう時に、僕は何と言葉を紡げばいいのかわからなかったのだが、
謝意をうまく伝えられただろうか。おいしかったです。
ちなみにアウさんはひたすらソーセーズだけ貪られていた。
そして、夕食をすませた我々は、前人未到の地・アウさんの部屋へと侵攻した。
そこには……。
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